芙蓉~フヨウ~

花ライフコーディネーター 宮川 直子

<中国原産・落葉低木。アオイ科フヨウ属/花径10~15㎝位/一重・八重咲き/庭木・鉢植>

“朝は白 昼はほんのり赤みがさし 夕には赤い色になる”

芙蓉は夏から秋にかけて多くの蕾を高く掲げ、大輪の花を次々と咲かせる花木。白・淡紅色の美しい花の命は一日で終わるが、翌朝にはまた、別の花がそれに変わって開花する。

“芙蓉の顔(かんばせ)”は、美人のたとえ。花言葉は、“繊細な美”。どうやら“愛”“美”のシンボルの花のようだ。

なかでも興味をそそられるのは、「酔芙蓉(スイフヨウ)」。小説「風の盆恋歌」(高橋治著)に登場、有名になった。朝、純白だった花が徐々に色づき、昼過ぎには淡紅色、夕方から夜には紅色に変化する。何とも楽しくワクワクするような呼名。名付け親はきっとお酒に目のないお方に違いない。

「風の盆」は越中八尾の「胡弓の音色」と「色づいた酔芙蓉」の情感あふれるお祭り。毎年9月1~3日、八尾の人々はそれにあわせて丹精込めて育てるとか。

アオイ科は、他にムクゲ・ハイビスカス・タチアオイ・アブチロン・オクラ・ケナフなどがある。

会報誌「大阪販売士」第77号掲載(1999.8.31発刊)