KINCHOのマーケティング戦略について

  • 開催日:平成23年7月6日(水)
  • テーマ:KINCHOのマーケティング戦略について
  • ~多彩なコミュニケーション活動を通じてモノを伝える~
  • 講 師:大日本除虫菊㈱専務取締役  上山 久史 氏
  • 報告者:山本 純子

 今回はTVのCMが今年もユニークな「金鳥」さんという事でお話しを聞きに行こうとおもいました。創業者上山英一郎氏は現在の和歌山県有田市で蜜柑栽培をしていた名家の七男として生まれ祖父より上山家の発展を託されました。家業を継ぐことを選ばず単身、東京へ向かい、サマーズ・スクールで英語を学びのち慶應義塾に入塾し、福澤諭吉の教えを受ける事になります。「これからの日本は世界と渡りあわなければならぬ!」「世界の中の日本」貴重な教えを受けましたが病気のため帰郷しました。まず「ウチの蜜柑を外国に売る事から始めよう」こうして明治18年上山商店を創業します。

その後恩師福澤諭吉の紹介によりアメリカの植物会社社長H・E・アモア氏と運命的な出会いをします。蜜柑の苗を頂いたお礼にといくつかの種子を送って貰ったその中に除虫菊の種子があったのです。最初は農家の人たちが、なかなか話を聞いてくれませんでしたが、懸命に各地を訪問し、講演などをおこなったり、栽培手引書を発行したりして除虫菊の普及に努めました。「除虫菊を原料に国産のノミ取り粉を作って輸出するのだ」という意気込みを持って、除虫菊のノミ取り粉の商品化に成功しました。

次はある農家の人に「夏に田んぼで大発生する蚊を退治する薬を作ってくれ」と言われました。蚊は日本の夏においては、昔から悩まされている害虫でした。何とか飛翔害虫に効果を発揮する方法がないものかと考えた英一郎でした。ご仏壇の線香を見て「これだ!」とマネをして作りました。しかし、短くて、細い線香では持続時間が約40分と短時間しか持ちません。もっと長い時間燃やし続けるためにはどうしたら良いのかと悩んでいた英一郎に、妻ゆきが、「渦巻き型にしたらいかがでしょうか?」というアイデアと助言により、もっと太くして、渦巻の形にすることに取組み、7年間の試行錯誤の末に手巻きで一度に2本の渦巻きを作る「ダブルコイル」と金網の上での乾燥という、大量生産が可能な方法を考え出しました。

現在私たちが知っている蚊取り線香の型になったのは、100年以上も昔のことですが今も通用しています。化学の進歩により除虫菊に含まれていた成分(ピレトリン)を解明し、天然原料から化学合成原料へと変わってきましたが、今では、世界中で様々な会社の蚊取線香で売られています。自然との共存・快適な暮らしづくりの考えからご自身で“三大「蚊」紋”を遊び心で考案したり、KINCHOはユニークな会社であると断言する専務さん。質問に答えて頂きました。

Q:CM作りの意志決定は?

A:あのユニークなTVのCMは宣伝担当者とご自身とフラットな関係で決めているとの事・製品は、その時代の新しいものであるとの自負を持つ・その新規性が印象に残るCMを作る・表現はインパクトの強いCMを作るこれであのCMを作成しているのです。

Q:ユニークな商品開発の戦略は?

A:戦略も社風もユニークに!・開発人は世界初のものを作れ

   ・「鶏口となるも牛後となるなかれ」闘争心を持ち世界一に(金鳥のニワトリのマークの由来)・社内の提案をダイレクトに取り上げていくこれで新商品の開発が進むのでしょう。現在日本中どこにでも売られている殺虫剤の売り場コーナーは品揃えも量も世界一と言われました。制限時間を超え頭も柔らかくユニークなお考えに基づくお話を楽しく聞かせていただきました。