大阪ステーションシティ

開催日:平成23年8月23日(火) 
                          見学先:大阪ステーションシティ
                          報告者:井上 元久


8月23日(火)、大阪の新たなランドマークとして誕生した「大阪ステーションシティ」の視察見学会、アテンダントの案内による11時~12時のツアーに参加した。

この街は、ノースゲートビルディング、サウスゲートビルディング、駅構内と、「水」・「緑」・「時」・「エコ」・「情報」を共通テーマとした様々な個性溢れる8つの広場で構成されている。

広場は、新幹線「さくら」等のデザインで有名な水戸岡鋭治氏監修である。駅が文化の発信地となるようにデザインされ、鉄道には時計が不可欠な事から、各広場には趣向を凝らした時計が設置されてるとの事である。それぞれの広場には、駅の建物の中とは思えない程の緑が植樹されている。今回は8つの広場の内、5つの広場を巡った。

一つ目は、「アトリウム広場」である。北の玄関口とされ、152インチのデジタルサイネージとLED時計(文字と針がLED)の光時計が設置されている。

次に、エスカレーターを昇り、「時空(トキ)の広場」に向かった。「時空の広場」のコンセプトの一つは待ち合わせ場所であり、南北の吹き抜けと列車を見渡せる大パノラマがある。
広場中心の北には直径160㎝の金時計と南には直径120㎝の銀時計が設置されている。
また、上空の固定ポールからミストが噴霧され、体感温度を2~3度下げる効果があるそうで
ある。「時空の広場」中央にはカフェが一軒ある。ヨーロッパの駅を模した光景である。

「時空の広場」からエスカレーターで7階に向かった。7階は「空中通路」となっており、「時空の広場」や大阪駅の一部を見下ろすことのできる「写真スポット」との事。伊勢丹三越とルクアの連絡通路でもある。そこから長いエスカレーターで更に上に昇った。

10階は「和らぎの庭」。松・桜・楓等が植樹されている緑溢れる和モダンな庭で癒しの空間になっていて、ビルの中にいながら、四季の移ろいが体感できる。

更に、ノースゲートビル11階は「風の広場」である。先ほどの「和らぎの広場」を上から見下ろすと一幅の絵画になるように設計されている。夜になると庭の置き石の隙間から光が浮き出て幻想的との事。更に、「風の広場」では“光の詩”という赤い羽根のオブジェや黄色のオブジェが風にそよぐ。幼い子供と母親が敷板の中央から湧き出る水と戯れている。雨水を利用した湧き水だそうである。ここは、水と太陽と風の恵みを感じられる憩いの空間だ。「風の広場」を通り過ぎるとY字型をした入口のビルがあり、ここから28階まではオフィスビルになっている。入口の前のバラの柱にはツルバラで覆われた花時計があり、一輪の真っ赤なバラが印象的だった。イングリシュガーデンをイメージしたとのことである。時計の横には14階の「天空の農園」に続く階段がある。

最後に、「時空の広場」に戻り、エスカレーターで「サウスゲートビルDAIMARU」前の1階に進む。ここ「南ゲート広場」の時計は、壁面に絵画を思わせる額縁の中に水で様々な形が描かれては消えていく。その形の中に時間が現れる「水時計」である。幼い子供が食い入るように眺めていた。

駅を覆うドーム状の天井は180m×100m。ドームは17節で構成されており、免震性があり安全性は高いとの事である。稼働中の駅での工事の為、安全性を確保するためにドーム設置工事は夜に行われ、節をスライドさせ、一つ一つを組み立てて完成させたとのことである。
「大阪ステーションシティ」は、随所に環境に配慮した設計になっている。

駅の屋根にはソーラーパネルが設置され、ドーム大屋根及び屋上に降った雨水は濾過されてトイレの洗浄水として利用されている等々である。JR大阪駅は単にデザインを一新しただけでなく、大阪の町と駅が一つになり、環境に配慮し、自然エネルギーを活用したエコステーションである事をこの見学会を通じて感じることができた。