中小商店・企業にもできる広告~マスコミからくちコミまで~

平成24年度 第2回販売士塾報告

テーマ:『中小商店・企業にもできる広告~マスコミからくちコミまで~』

塾 長:有限会社クラスト 代表取締役 酒多隆子氏

報告者:日野隆生

酒多氏は、新聞社、広告制作会社を経て、1984年広告オーガナイザー・プランニング「クラスト」を設立。行政、公共団体、通販、化粧品など様々な業界の広告媒体の企画制作に携わり、現在は大阪樟蔭女子大学国文学科において「出版プロデュース」、「創作表現」などの非常勤講師及び大阪コピーライターズクラブに所属し活躍されています。

今回のテーマは、同氏のこれまでの豊富なご経験から実際例をもとに「プレスリリース」とは何か、そしてその意義から具体的な作成方法までまさに中小商店・企業において活用できる実践的な内容でした。

同氏によると広告とは、開発品(新製品、新商品、新サービス、新店舗等)の新規性や希少性、特徴やメリット、他社との違い、どこで買えるかなどを新聞・TV、ラジオ、チラシ、DM、Web、展示会など各種メディアで発信することです。尚、広報とは、広告を含む広い概念(人事、採用、危機管理、株主情報等)であると説明されました。

一方、プレスリリースとは、発表したい(伝えたい)開発品の内容を報道用資料として作成し、マスコミがこれを報道することにより「無料の広告」すなわちパブリシティとなるものです。広告は、広告主が広告料を支払い発信しますが、パブリシティは、マスコミが発信するわけですから開発品の話題性や開発秘話などマスコミ(記者)がとりあげたいテーマに自社製品(情報)をフィットさせることが必要になります。

プレスリリースを作成するには、専門の会社に外注する方法もありますがかなりの費用がかかります。一方、自社で作成するには手間がかかりますが、外注に比べれば安価でノウハウも残ります。外注先や自社作成のための情報ソースも具体的に教えていただきました。

さて、プレスリリース発信の手順ですが、まず、どう売るか、誰に売るか、売り方のシステムを作ることから始まります。この時、イベントやカタログ等広告プランを併せて行うことです。そして、次はターゲットに合うメディアを割り出しリストアップすることです。この作業は自社で行う場合はかなり大変ですが、次回以降はこのリストが活用されます。

そして、プレスリリース作成方法が具体的に示されました。まずは、開発品をどう売るか、誰に売るか、どんな風に使ってほしいかをよく見極めて客観的に考えること。これをひと目で理解いただけるようにA4用紙1枚に次の点に注意してまとめます。①発信先の固有の社名と部署名を入れる。(複数部署だと記事が錯綜する場合がある)②キャッチフレース(新規性、希少性)でつかむ。③開発品の特徴(どんなもの、誰に売る、他の違い、買えばどこがトクか、どこで買えるかなど)を客観的にわかりやすく(写真、箇条書き)まとめる。④問合せ先(必ず連絡がつくように担当者の携帯番号等)を必ず入れる。

プレスリリースの発信はスタートです。実際にはなかなか取り上げられません。発信と同時に会社案内や広告物、カタログ等を送ります。また、記者に電話確認し、訪問したりもします。送ったメディアをリスト化し、その後の結果を残しておきます。パブリシティとして取り上げられた後の受け皿として担当部署を整備することも必要です。

掲載される場合は、事前にホームページやチラシで顧客や取引先に伝えておき、営業に活用します。記者にはお礼のメールをし、定期的に切り口を変え(商品以外)プレスリリースを送ります。マスコミ各社の記者と仲良くなり地道な取り組みが必要なことなどエピソードを交えて教えていただきました。講演後の交流会では、さらに個別の質問にも応じていただき感謝申し上げます。