「できるやんか! ~人間って欠けているから伸びるんや~」

平成25年度 大阪販売士協会 創立35周年 記念講演会

開催日:平成25年5月24日(金)

テーマ:「できるやんか! ~人間って欠けているから伸びるんや~」

講 師:千房株式会社 代表取締役 中井 政嗣氏

報告者:横山 昌司

大阪販売士協会の35周年記念講演会で、千房株式会社 代表取締役 中井 政嗣氏の「できるやんか! ~人間って欠けているから伸びるんや~」を聞かせていただきました。

同社は、創業者である現社長の中井政嗣氏が、1967年に住吉区でお好み焼き屋を開業されたことが始まりです。1973年に大阪・千日前に「千房」を開店され、その後支店を増やし、1981年に大阪以外で初めて進出した静岡出店以降は全国に展開し、海外進出も果たしており、ハワイにも店舗があります。また、同社は刑務所内での採用活動に取り組み、元受刑者を社員として採用することでも知られています。

記念講演会は、中井社長の個性あふれる内容で、非常に面白いものでした。あっという間に講演時間が過ぎてしまいました。しかし、今、このレポートをまとめてみると、中井社長の講演で話されていた内容はごく「普通のこと」であるということに気が付きました。ただ、一般的な普通との違いは「普通のこと」を徹底的にやっておられることです。中井社長は、継続は力なり、「続けると本物になる、ほんものは続く」ことを信念に、自分が信じたことを徹底して続けて、ものにしておられています。私自身、経営コンサルタントとして色々な企業を見させていただいています。しかし、やることを決めることは簡単ですが、それを徹底してやり続ける企業はごく少数です。大多数の企業は「忙しい」「時間が無い」といって、いつの間にか「決めたことをやらなくなっている」ことがほとんどです。その少数の「徹底して」やっている会社は、外部環境が悪化しても、問題は社内にあるとして、その解決策を考え、社内の元気に経営を続けておられる企業が多いような気がします。良いアイデアやプランであっても続けていかなければ、意味はありません。続けることの重要さを再認識しました。

また、我々コンサルタントはその徹底して続けることを「仕組み」をつくることで解決しようとします。しかし、中井社長は「人」にこだわられます。「企業は人なり」として、「続けること」は、人をどうして作っていくのか、意識・気の持ち方をどうするのかという方法で解決されています。そのため中井社長は教育(共育とホワイトボードには書かれました)を徹底されます。その考えの中心が「人間って欠けているから伸びるんや」にあたるところです。中井社長は「100%の障がい者がいないように100%の健常者もいない」と説明されていました。ついつい、現在のデジタル化された世の中では、人間を「できる人」「できない人」といった2つに分けてしまいがちです。しかし、よく考えれば中井社長がおっしゃっている通りです。完全な人間はいないので、お互い欠けたものを補うのに社会・会社が必要ですし、また、自分が欠けていることがわかるので、それを補うために「教育」が必要という意識になります。その気持ちが「できるやんか!」につながるような気がします。人を信頼し、教え、学び、やることをすべてやることで、「できるやんか!」という関西弁の温暖かいほめ言葉が生まれてきます。

眼聴耳視、仏教用語で、「真実をみる為には眼で聞いて、耳で見なさい」など、まだまだ中井社長の話は続きますが、それを全部書くにはもっと枚数が必要となりますので、この辺で終わりたいと思います。最後ですが、中井社長の歯切れのいい快活な熱い語り口に熱くなり、考えさせられることに多い講演会となりました。