「スーパーホテルの仕組み経営」

平成26年度 第1回販売士塾報告

開催日:平成26年8月29日(金)

テーマ:スーパーホテルの仕組み経営

塾 長:株式会社スーパーホテル 取締役・経営品質部長   山本 健策 氏

報告者:立尾維將

 スーパーホテルは、「安全・清潔・ぐっすり眠れる」というコンセプトをモットーに、お客様に密着しながら、感動的なサービスを提供することに注力している今話題のビジネスホテルです。2014年8月末現在で107店舗(海外2店舗:タイ・バンコク、ベトナム・ハノイ含む)を展開し、年間利用客数は延べ413万人、売上高は228億7,000万円(2014年3月期実績)に達します。

 その成功の秘訣は、

1.徹底された費用削減により、1泊朝食付きで5,000円前後からの低料金を設定している点です。元々は1970年にシングルマンションの経営を開始し、約6,000室を管理していたノウハウを活用し、宿泊特化型ホテルとしてホテルのIT化を図ったことによります。それは自動チェックイン機の導入によるノーキー・ノーチェックアウトシステム(宿泊料金を自動チェックイン機に入れた際に発行される領収書に部屋番号とその部屋の暗証番号が印字されている)を採用し、フロント業務の効率化により少人数オペレーションを可能(部屋に電話を設置せず、また冷蔵庫の中にドリンクを置かず、それらの精算をしなくてよい)にしています。

またベンチャー支配人制度いう、夫婦で50日間の研修を受け支配人・副支配人(ホテルでは10年程度の修行が普通)を養成する制度があり、一般的に100室のホテルの運営には8人のスタッフが必要とされますが、この制度により2人でもホテル運営をすることが可能となりました。

2.2014年度JCSI(日本版顧客満足度指数:Japanese Customer Satisfaction Index)にてビジネスホテル調査対象10企業およびブランド中、顧客満足度第1位に選ばれたほど顧客満足度が高い点です。このことは稼働率全国平均で89%、70%を超えるリピーター率が物語っています。

この理由は、

①    現在50店舗が各地の名湯の大浴場付き(スーパーホテルでは、お客様の健康と安眠を考え、各店で天然温泉の導入をすすめています)

②    無料健康朝食(有機野菜、ノンアレルギードレッシング、減農薬米や保存料を一切使用していないパンなど)の提供

③    地域No.1のぐっすり眠れるホテル(大阪府立大学地域連携研究機構健康科学と共同でぐっすり研究所を設立)を目指し、ロビーには高さや硬さの違う7種類の枕がずらりと並び、自分に会った枕を選べる等

以上3点に加え、お客様に満足していただき、何度もご利用いただくためには、感謝・感動の価値観をもっていなければならないとされ、スーパーホテルの運営に関わる支配人・副支配人・パートナー・本部スタッフ一人一人の感謝・感動をたかめるには理念の浸透が不可欠であるということを徹底しています。

3.LOHAS「Lifestyles  Of  Health  And  Sustainability」なホテル(CO2削減と健康)を目指し、ホテルサービス業においてスーパーホテルの「エコひいき活動」や「エコ泊」などの先進的な環境負荷活動が環境省に認められ、「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受賞(2010年)し、また環境省が創設した「エコ・ファースト制度」において、ホテル業界初の「エコ・ファースト企業」に認定(2011年)された点です。

 今回講演を拝聴させていただきその他にも成功の秘訣はいろいろあり、もっと書きたいのですが、特に興味を持った点は上記3点でした。これからも日本国内だけでなく、海外でも更なる発展を期待しております。