『化粧品業界の現状と流通形態について』について
平成26年度 第3回 販売士塾報告
テーマ:「化粧品業界の現状と流通形態について」
塾 長:セイワサプライ株式会社 永尾聖司 氏
開催日:平成27年2月26日(木)
報告者:吉田三嘉
今回は、化粧品などに利用される化成品の専門商社であるセイワサプライ株式会社の永尾塾長にご講演いただきました。
当日は、①化粧品の動向、②化粧品業界の特徴的な流通システム、③その他、化粧品・トイレタリー用品の流通システム、④化粧品ビジネスは究極の「水商売」という構成でお話しいただきました。
① 化粧品業界の動向
化粧品業界の生産規模は、近年1兆4千億円前後で推移(国内GDPの約0.3%)。厚生労働省が発表する化粧品の製造販売業登録社数は、約3,400社。
また、日本の化粧品産業は、ハード、ソフトの両面において知識や技術を集約したものであり、他国の追随を許さない優れた産業である。
さらに、日本の化粧品および流通システムは、国内のみならず、アジア諸国で大変人気があり、今後も十分な進展が期待できる産業である。
化粧品は女性にとって必需品であり、好不況の影響を受けにくい。好景気の状況下では、収入が増えることで高級化粧品がよく売れる。逆に、不景気な状況下では、女性の働く機会が増え、化粧品を使う機会も増える。また女性は、収入が減ったとしても、使用する化粧品の品質は落としにくいという背景がある(私も、そうだなぁと実感)。
② 化粧品業界の特徴的な流通システム
1940年代の乱売合戦で化粧品業界全体が疲弊するなかで、当時の資生堂が画期的な流通形態として「制度品システム」を考案、現在の国内化粧品業界発展の礎を築き上げた。「制度品」とは、卸売業者を介在させずにメーカーと小売業者が直接契約し、メーカーが直接きめ細かな支援活動を契約店に対して行うのが特徴。このシステムを導入し活用する企業が業界売上高上位を決定づけるため、各メーカーが徹底的に分析し戦略としている。
③ その他、化粧品・トイレタリー用品の流通システム
・セルフ販売:メーカーから卸売業者を経由して製品が流通、消費者は自身の判断で店頭
で商品購入を行う。コストカットを進めることで実現する低価格品が多く
を占める。
・訪問販売:メーカーが販売員を消費者の家庭や職場へ派遣し、直接販売を行う。現在は
各社ともに苦戦中の流通システム。
・通信販売:消費者がメーカーや通信業者に直接商品を注文することで、商品が直接消費
者の手元に届けられる。現在のところ最も異業種よりの新規参入が多い流通
システム。通信販売が化粧品業界のビジネスとして成功し進展している理由
は、メーカー(生産者)が小売りまで行う製造小売業(SPA:Specialty Store
retailer of Private label Apparel )を採ることが可能で、製造面や在庫面での
ロスを完全に抑えられることが挙げられる。
④ 化粧品ビジネスは究極の「水商売」
化粧品の中で最もボリュームの大きいアイテムは「化粧水」、その中身はほとんど「水」。この「水」にどれだけの付加価値が付けられるかが勝負。消費者から商品の安全性に対する信頼を得るための研究経費、商品を知ってもらうプロモーション費用、商品の使い方を説明する販売員の人件費、このようなものを含めて化粧品ビジネスは成り立っている。
今回、永尾塾長から化粧品業界の現状や流通システムについて、多くの情報をわかりやすく説明してくださいました。私は化粧品を使用する一人として、これまで購入する時にまったく意識していなかったことを知り得たことは大きな学びとなりました。また、販売士の資格を持つ者として、新たな知識を深めることができ、感謝いたします。
実は今回、永尾塾長は女性の関心の高い、スキンケアの情報もたくさん準備してくださっていました。時間の兼ね合いで、この情報を聞く時間が取れなかったことが残念です。
次回はぜひ、スキンケアについて聞かせていただけることを楽しみにしています。
以上