「関西・大阪を元気に」

平成27年度 第1回講演会報告

開催日:平成27年8月6日(木)

テーマ:「関西・大阪を元気に」

講 師:公益財団法人大阪観光局 理事長(大阪観光局長)   溝畑 宏 氏

報告者:時本 雅文

国内における旅行消費額(2013年)は23兆円を超え、中でも注目されるのは、訪日外国人旅行によるインバウンド消費が年々需要を押し上げている現状である。小売業などにおいて、ひときわ存在感が強いのは中国人観光客で「爆買い」が話題を集めている。この観光・旅行消費は、わが国の重要な柱であり、地域における成長戦略産業である。

「観光立国実現に向けた取り組み」

2013年3月「観光立国推進閣僚会議」が設置され、「オリンピック・パラリンピック東京大会」が開催される2020年に向けて、訪日外国人旅行者数2,000万人の高みを目指すとともに、2030年には3,000万人を超えることを目指すなど「日本再興戦略」が閣議決定されている。アジアをはじめとする各国へのビザ発給要件の緩和などが織り込まれた「観光立国に向けたアクション・プログラム」における施策では、消費税免税制度の拡充(消費税免税の対象商品の拡大)に繋がっている。このような背景のもと、アジア各国の経済成長による海外旅行者数の増加や円安傾向も追い風で、拡大するインバウンド消費(2014年の訪日外国人における旅行消費額)は、前年比約4割増の2兆円超えとなり過去最高となった。国・地域別では中国が対前年2倍を超え、総額の1/4のシェアを占めるまでに増大している。

「訪日外国人・来阪観光客数の増加」

訪日外国人旅行者は年々増加傾向であるが、旅行の1回あたりの宿泊日数は微減となった。一方で大阪における宿泊日数は逆に増加しており、リピーターの多い台湾や香港、韓国の滞在型旅行が要因である。また、観光地としての意向調査(※1)によると、総合的な認知度・訪問意欲は国内でも大阪は上位にランクインされている。これら傾向は関西国際空港における過去最多の便数(1,029便/週、内864便がアジア路線 ※2)や国際線ネットワークの発達、LCCの国際線旅客便数の増加がある。

~講演会を終えて~  急増するインバウンド需要と観光産業の担い手になるために

現在、市中の小売店やレストランでは、インバウンド需要に対応していない店舗が散見される。少しでも消費力を上げるため、販売・サービススタッフによる多言語の挨拶やマニュアルづくり、広告や表示物では自社HPやパンフレット、写真つきのメニューブック、商品POPなども翻訳し増客、増収に繋げたい。まだまだ私たちが出来ること、課題も山積みであると感じている。地域活性化のため「グローバル・世界に通用するものをつくる」、インバウンド需要が高まり続け、起爆剤となりうるイベントが目白押しという流れの中で、まずは、ひとりひとりが出来ることからはじめる。わが国を良くしたい想いを、地域における観光産業の発展をめざし、企業であれ、経営者であれ、また個人であれ、チャレンジし続けたい。「夢・努力、そして情熱」という言葉に深く感銘を受けた講演会となった。

※1  日本政策投資銀行「アジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査」

※2  2015年夏期スケジュール・貨物便を含む