小売業の生産性向上に関するモデル事業の創出と展開
塾 長 ㈱野村総合研究所
消費サービス・ヘルスケアコンサルティング部
主任コンサルタント 栗原 一馬 氏
社会システムコンサルティング部ソーシャルデザイングループ
副主任研究員 木村 和代 氏
報告者 平井淳文
第4回販売士塾は、小売業の生産性向上がテーマということもあり、タイムラインがしっかり提示され、非常にスマートな講演会でした。
まず、「小売業の現状と課題、小売業の生産性を高めるためには」と題し、15分間の講義を頂きました。
小売業の現状と課題については、小売業の生産性が他の業種に比べ低く、その中でも、小規模事業者の生産性が低い傾向であり、結果として、大きな投資を伴わずとも着手可能な生産性向上策が求められていることを分かり易く図解頂きました。そして小売業の生産性を高める為には、すでに生産性で優位な異業種の持つ業務効率化のノウハウと、今まで培ったサービス業ならではの付加価値向上のためのノウハウの双方が必要であることを解説頂きました。
次に、体験学習では、架空のアパレル小売「株式会社コージョー」について、①間接業務の効率化による接客時間の確保。②ハイパフォーマーのノウハウの把握と展開。について検討をしました。私達にとって身近なテーマの為、店舗に謎の帳票があることや、日々、驚異的な売り上げを達成しているハイパフォーマーが確かにいることが共通の話題となりました。その後の発表でもより具体的な改善例が出ていました。中には、答えよりも良いといった評価を頂くものもありました。
様々な観察眼があり、個人では、全く思いも出来なかった改善例も生まれ、そして優れた案は、多くの人々に共感される。今回、モデル事業に選ばれた小売事業者の現場でもこのような良い流れが生まれつつあるのではないかと希望を感じました。
さらに、今回の取り組みは、現在進行系で進んでいます。3月末に、小売業生産性向上マニュアルとして、モデル事業から得られてたノウハウ集が経済産業省のサイトにアップされる予定とのことです。今回の講演会では、食品スーパー編のレポートが配布され、内容を確認することができました。改善方法の基本説明、実店舗での導入方法、改善結果が分かり易く解説されており、参考になる資料でした。完成版の資料も待ち遠しく思います。
講演会を受講する前は、効率化をするとサービスが低下するのでは?という懸念も持っていましたが、効率化をすることで間接業務時間が減り、しっかり接客時間が確保できることで、サービス向上にも繋がることが理解できました。仕組み作りの重要性を改めて感じました。