化粧品を科学する
日 時: 令和元年10月3日(木)
塾 長:セイワサプライ株式会社 営業部 永尾 聖司 氏
報告者:岩崎 正利
今回の販売士塾は、先般行なわれた第1回の講座「化粧品業界の現状と流通形態について」の座学を中心とした内容とは異なり、化粧品の成分について、より深い理解が得られるような手作り体験を盛り込んだ創作型の講座でした。
最初に塾長から「化粧品業界の動向」、「化粧品とは」、「化粧品の種類」、「化粧品に係わる科学」について説明がありました。特に印象に残ったのはこの業界規模が約1兆6,400億円であること。この規模も年々増加傾向にあります。化粧品の好循環サイクルとして、好景気になれば女性の収入が増え、その結果高級化粧品が売れることになるが、不景気になれば女性が働きに出ることが多くなり化粧品を使う機会も増え、低額化粧品が売れるというサイクルがあるようです。化粧品の輸出入で言えば、2016年に初めて輸出金額が輸入金額を上回り、さらに2017年は輸出金額が輸入金額の1.5倍となったとのことです。その原因は、ハード面の優秀さ、つまり細胞レベル以上の深い分野に及ぶ研究、安全性の担保や薬学・生化学などの先進的技術の応用にあるそうです。さらにソフト面でも、デザイン価値の高い製品、日本式の化粧品販売手法「おもてなし」が大きく影響しているとのことでした。
化粧品文化においても日本と外国では大きな違いがあり、ヨーロッパ諸国はフレグランス(芳香)を中心とした「香り」の文化であり、アメリカはメーキャップを中心とした「創造」の文化、日本はスキンケアを中心とした「清楚」の文化と言った具合に分けられます。
日本の化粧品は、世界的にも稀なことに国が法律で管理しており、化粧品の定義を簡単に言うと、「ヒトを綺麗に美しく、健やかに保つために用いられるもの、かつ人体への影響、特に安全性面において十分な確認がなされているもの」と規定されています。
化粧品の種類としては、香水・オーデコロン(パルファム、オード・トワレなど)、頭髪用化粧品(シャンプー、トリートメント、整髪料、染毛料など)、皮膚用化粧品(洗顔クリーム、乳液、化粧水、パックなど)、仕上用化粧品(ファンデーション、口紅、ほほ紅、アイメーキャップ、まゆ墨など)、特殊化粧品(サンスクリーン、サンタン、髭剃り用品、入浴剤など)があります。最後に化粧品に係わる科学としては、化粧品には、実に様々な分野(コロイド界面化学、皮膚科学、色彩学、心理学等)の先進技術が詰まっていることなどの説明がありました。
その後、待ちに待った化粧品作りが始まりました。グループに別れ、スキンケア“手作りコスメ”ジェルクリーム作りに挑戦です。材料は、精製水(水)、ミネラルオイル(油)、乳化剤(界面活性剤)、添加剤(香料、防腐剤、機能性素材)。界面活性剤がいかに重要な働き・役割を果たしているかに驚きました。水と油は混じりあわず、緊張状態(界面)を作り出しているが、この緊張状態を和らげる(活性化)のが界面活性剤の役割。水と油以外にも粉や空気などとの緊張状態を和らげてくれる優れものだということが分かりました。
ビーカーなどを使用しての調合の仕方ですが、きちんと順番があること、正確な分量、混ぜ具合など緻密さが求められることを実感しました。各グループがそれぞれ香りのある純白のジェルクリームを完成しました。意外と簡単にできましたのでこれまた感動でした。
塾長汗だくの熱心な指導の下、ジェルクリーム作りという貴重な体験を通して、化粧品が一段と身近に感じるきっかけをいただきました。塾長を始め関係者の皆様に感謝申し上げます。