「今年は年金支給額が引き上がります!?」

2023年4月15日  

文責 社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・1級販売士 高濱光暢

ファロス社会保険労務士法人

コラム:

第1回

「今年は年金支給額が引き上がります!?」

2023年度の公的年金額は3年ぶりに増額改定となります。67歳以下は前年度比2.2%増、68歳以上は同1.9%増となります。

67歳以下は、賃金変動率により改定され、68歳以上は物価変動率により改定されることにより、2通りの改定率が生じることになり、これも現行の制度では初めてとのことです。

※賃金変動率 2.8% 物価変動率 2.5%と賃金変動率が物価変動率を上回ったので2通り発生。これまでは物価変動率>賃金変動率という状態が続いていたので、特例措置により賃金変動率のみの採用となっていた。

しかし増額改定だから喜んでよいでしょうか?
マクロ経済スライドも3年ぶりに適用されました!ん、これは何でしょう?

 これは少子高齢化の進展に合わせて給付を押さえる仕組みのことで、現役世代の人口減少率と平均余命の伸びから算出した調整率を賃金変動率、物価変動率から差し引いて改定率を抑える仕組みです。

 さらにデフレが続いていた期間にマクロ経済スライドの発動がなされなかった過去2年分の繰り越し分も今回含められることになります。

その結果、マクロ経済スライドの発動により0.6%の調整率が差し引かれ冒頭の増額改定率となります。

さて現状もインフレがどこまで進むかは予断を許しませんが、日常生活においてもモノの値段が上がってきているのが実感されますね。はたして年金支給額の引き上げを素直に喜んでよいものででしょうか…

(注)公的年金制度の詳細はかなり省いて説明しています。詳細は厚生労働省のHP等をご参照ください。