龍胆~リンドウ~

花ライフコーディネーター 宮川 直子

会報誌「大阪販売士」第78号掲載(1999.11.30発刊)

<日本・朝鮮半島・中国原産リンドウ科/同じ科に「センブリ」「ミツガシワ」「ハナイカリ」>

リンドウの中の「ササリンドウ」は、ご存知源氏の家紋を代表するものである。「リンドウ」の中で、葉が笹の葉のようにやや細手のものをそのように呼ぶ。

また、古くから、リンドウの根茎は、乾燥させて薬用に使用されてきた。名のゆらいは「龍の胆のように苦い」ことから。古代エジプトでも、強壮剤・健胃剤・殺菌剤に使われていたようだ。

龍胆は、通常9月から11月にかけ、秋の山に咲く多年草。青紫色の花はとても可憐で、やさしい。7月初旬に尾瀬でみた「タテヤマリンドウ」は、高さ10㎝ほど、淡い青紫、花の長さはわずか1.5~2㎝。

また、冬景色の四国石槌のふもとで出会った「ツルリンドウ」の赤くつややかな小さな実も忘れがたい。どうして『秋の七草』に入っていないのか不思議。

「初冠雪」「瑞紅」これは、花市場で流通している切花・鉢物のリンドウの名である。

「初冠雪」は、名のとおり青い花弁の先だけが白く、満開になると、花弁が外に反転、マイナス2度まで、開花を続ける。「瑞紅」は鉢物用、赤紫色でコンパクト。最近では切花で、白・淡いピンク・濃いピンク・青・紫・青紫・淡い青紫など、色数が豊富で、美しい。