【ツバキ (椿) 】

会報誌「大阪販売士」第95号(2004.1.1発刊)より転載
2026/2/18:Web掲載にあたり一部改変

花ライフコーディネーター 宮川 直子

まだ雪の残る日本海の山地仁咲く赤い「雪椿」

積雪地帯に咲くこの花は、雪に耐えられるよう枝もしなやかで、下部からよく枝分かれし樹高は1~2mほど。里がすっかり春になってから開花する。

新潟県では「県の木」に指定されている。

一方、滋賀県以南の温暖な地方に咲くのは、さまざまな椿の母種となる「藪椿(やぶつばき)」である。

赤花が主だが まれに白花もある。

この変種である「リンゴ椿」は湿気を好み屋久島に多く見られる。花は小ぶりだが果実(種子)は直径5~6㎝ほどで、時折10㎝前後のものもあり、遠目にはリンゴのように見えることからその名がある。

初夏の頃に行くとお目にかかれるとのこと。

室内のツバキの風景といえば、しっとりとしたお座敷や床の間。特に「白玉椿」は「八千代椿」とも呼ばれ、お正月や婚礼、お茶席にも好んで用いられる。

凛として、その空気までも変えてしまうような「一枝の椿」、その存在感は素晴らしい。

映画のワンシーンのようである。

しかし、花の仕事をする身となれば要注意の花である。

クライマックスで花がポトリと落ちてしまっては一大事。お見舞いには使わないように、祝い事においても落花はご法度である。「藪椿」などは特に落下しやすく、庭に植えない地方もあると聞く。

それでも椿は魅力的で、日本のみならず世界中で盛んに品種改良がなされている。

日本人は「侘(わ)び・寂(さび)」に心を動かされるせいか、やや小ぶりで一重咲きのツバキを好む傾向にある。園芸種の「侘助(わびすけ)」などはぴったりの命名。「白侘助」と「紅侘助」がある。

よほど日本人の感性に添うとみえ、時おり割烹店や和花専門の生花店の“暖簾”や“行灯”にその名を見かける。

入店せずとも、店の雰囲気やメニューまで想像できる。

このようにそれぞれの国の感性で、さまざまなツバキが生み出されてきた。

カリフォリニアで生まれた「グランド・スラム」などは、鮮紅色で花径は14㎝ほど。極大輪で八重咲きの花びらは、ひらひらと大きく波うっている。

他にも、一見牡丹のように華やかな品種のものもある。

今年は、京都の椿寺として知られる地蔵院へ、樹齢 約120年~130年とされる「五色散り椿」を見に行ってみよう。

3月下旬頃から4月半ば、うまくゆくと遅咲きの桜とともに出会えるとのこと。

【追記】

♢花の落下について:

花ごと落ちるため嫌う人もある反面、「いさぎよし」と好む人もいる。どちらも日本人の感性である。

♢よく似ている「サザンカ」と「ツバキ」のちがい。 

・「サザンカ」…晩秋~初冬に開花(10~12月頃)/花びらが散る/香りアリ

・「ツバキ」…冬~春に開花(12~4月頃)/花ごと落下する/香りナシ

※どちらも、ツバキ科 ツバキ属

※「サザンカ」:販売士協会ホームページのコラム「花につられて」2024年11月14日付に掲載済

♢種子から油を抽出:「世界三大オイル」のひとつ

「ホホバオイル」、「オリーブオイル」、「椿油(カメリアオイル)」

♢京都 地蔵院の「五色散り椿」:現在のものは二代目。

一代目は約400年あまり前に、加藤清正が朝鮮から持ち帰り豊臣秀吉に献上されたもの。

□大阪府の木は「イチョウ」