「2024年問題 時間外労働の上限規制」

2024年2月9日  

文責 社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・1級販売士 高濱光暢

第6回 「2024年問題 時間外労働の上限規制」

 すでに報道等でも話題になっていますが、運送業・建設業・医業における時間外労働の上限規制が2024年4月から始まります。

正確にいうと「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」で、すでに2019年4月から時間外労働の上限規制は始まっていましたが、これらの業種では猶予期間が設けられておりました。この期間が終わりいよいよ規制がスタートするという事です。

 

 今回は、トラック、バス、ハイヤー・タクシーの運転者(以下、「自動車運転者」)の時間外労働の上限規制について考えましょう。

 まずなぜ話題なのかというと最近の人手不足の中、さらに時間外労働の上限規制により人手不足に拍車がかかる、運送の業務に制限がかかりサービスの低下が起こるのではと危惧されています。運送業ではとくに運転時間に倉庫での待ち時間などもあり、拘束時間が非常に長くなるという課題がありました。

ただ一方で運輸・郵便業は、過労死等のうち脳・心臓疾患による労災支給決定件数が最も多い業種と言われており、その原因である長時間労働の是正を図る必要性もあります。

 今回の働き方改革関連法により、労働基準法が改正され自動車運転の業務にも「年960時間」とする規制が適用されることとなります。またこれに伴い自動車運転者を規制する「改善基準告示」も改正されることになりました。

 これを機に働き手にも会社にも利益をもたらす働き方を考えていく必要があると思います。

■適用猶予事業・業務

事業・業務猶予期間終了後の取扱い(2024年4月以降)
自動車運転の業務特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が960時間となります。 時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とする規制及び時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。 ※自動車運転の業務に従事する労働者は、別途、運転時間や勤務間インターバルについて定めた「改善基準告示」を遵守する必要があります。