「新しい働き方なのか?」

2023年6月29日  

文責 社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・1級販売士 高濱光暢

第3回

「新しい働き方なのか?」

フリーで活動しているアーティストや講師などが仕事を突然キャンセルされたり、実際に依頼をうけた業務をしても約束通りの報酬が支払われない、といった事例が増えているそうです。またコロナ禍以降、配送・配達を担う個人が増えたことにより、様々な問題が生じるようになりました。

“フリーランス”という名前は、少しかっこいい印象を与えます。しかしこのような業務に従事する人は、どこかに雇用されているわけではないので、労働法制で保護されるのでもなく、一方的に不利な条件を突きつけられてしまうこともあるようです。それでも「仕事を発注してもらえなくなる」と考えてしまい、泣く泣く受け入れてしまうといった事態にもなりかねません。不当な取扱いを受けても守ってくれる体制が脆弱だったんですね。

 こういった問題が増えてきたため、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)」が成立しました。

 内容は、⑴業務内容、報酬の額等の明確化、⑵不当に利益を害する行為の禁止(不当に受領を拒否してはならない、不当に報酬を減額してはならない等)、⑶その他就業環境整備(育児介護等の両立への配慮、ハラスメント対策等)を義務付けることとしています。

違反行為には、行政が指導、報告徴収、立入検査、勧告等をすることができるとしています。

 自分の能力を活かして、フリーランスの立場で働く人も増えているとも言われます。特にITのスキルのある人やコンサルティング業務の経験者などがいくつかの企業から依頼を受けて、そのスキルを活かして仕事をすることで勤めていた時よりも収入が増えたり、また時間の制約なく、自分のペースで仕事ができるため、新しい働き方として注目を集めています。

 一方、法的な保護規制としては弱いので、今回の法案成立が進んでいますが、これが新しい働き方の後押しなるのかどうか?今後の経過を見ていく必要があると思います。