『街は誰のもの ~街商人(まちあきんど)の信条~』
平成26年度 販売士塾 特別編 報告
開催日:平成26年4月16日(水)
塾 長:大阪販売士協会 理事長(天神橋筋商店連合会 会長) 土居年樹 氏
報告者:山﨑 孝二
土居理事長の講演を楽しみにして、友人を誘って福井から参加しました。
理事長からの「地元(天満・天神橋筋)を愛する思い」や「商店街活性化に向けた行動力(取り組み)」などのお話をお聞きして、同じ商人(あきんど)として、本当に参考になり、また大いに刺激を受けました。
現在、景気がよくなったとはいえ、わが国の商店街のほとんどが衰退しており、わが地元の福井の商店街は、昼間でも閉まった状態のいわゆる「シャッター通り」です。
昭和30年代以降スーパーが誕生し、ロードサイドには巨大商業施設が立ち並び、さらに街中の至る所にコンビニが出現したことによって、商店街人は負けてしまった・・・。それによって、そこで商いをし、住んでいた商店街人がいなくなり、街の治安の悪化につながったとのお話がありました。
理事長は、千百年前に創紀された大阪天満宮の門前町として天神橋筋が誕生して以来続く商店街の灯を消してはいけないという思いと「街に惚れ、人に惚れ、店に惚れる」という信条にもとづいて、商店街の活性化のためにいろいろと取り組まれてこられました。
空き店舗対策として、日本で初めて商店街の中にカルチャーセンターを作られ、音楽会・絵画展・落語会・バザーなど、数々のイベントを実施し、商店街から文化情報を発信されています。
また、お酒、天満切子はじめとする天満のみやげづくりをサポートし、「日本一長い商店街」と名付けて天神橋筋商店街の知名度を全国区に押し上げられました。商店街を端から端まで完歩するともらえる「満歩状」は、観光客の誘致にも一役買ったようです。
「一日丁稚体験」によって修学旅行生の誘致にも取り組まれてこられ、多くの子供たちは天神橋筋の良さ、大阪弁の柔らかさ、そして何よりも商いの楽しさなどを学んで帰っているようです。
そのなかでも天満天神繁盛亭の完成のお話は、人と人のつながりが「不可能を可能にした」、まさに「人に惚れ」を実践するエピソードでした。
天満宮の寺井宮司や上方落語協会の桂三枝(現:文枝)会長との出会いによって、天満天神繁盛亭(上方落語の定席小屋)が見事完成し、それによって商店街や街が賑わい、上方落語の発展(大阪文化の復権)の道筋をつけられました。まさに理事長のバイタリティ、人を惹きつける魅力によるものと大いに感激した次第です。
また、理事長は、「マスコミをうまく活用することが大事だ」とおっしゃっていました。天神橋筋商店街や天満のまちを全国区・有名にしたのは、理事長がうまくマスコミを活用してイベントをはじめとする商店街や天満の魅力を発信されたからだと思います。マスコミは商店街のこと、商いのことなら土居理事長(=天神橋筋商店街<天満>)に聞こうとして取材する。そしたら理事長が話題を提供してくれる。そういうことで、全国に天神橋筋商店街の情報が発信されて、観光客も増えるようになり、商店街や天満の街が賑わっているのだと思いました。但し、マスコミは味方にもなるが、時には敵にもなる(悪く書かれる)場合もあるとおっしゃってました。
私は講演会だけで帰ったのですが、懇親会では土居理事長の著書を販売したところ、あっという間に完売したと聞きました。また、理事長は購入者一人ひとりにサインされていたそうです。
最後になりましたが、土居理事長のご健勝と今後益々のご活躍をお祈りいたします。